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無分別のtakのレビュー・感想・評価

無分別(1958年製作の映画)
3.7

TSUTAYAの発掘良品でDVDがリリースされたことに感謝。大好きな「雨に唄えば」「シャレード」「パリの恋人」のスタンリー・ドーネン監督作。さらにヒッチコックの「汚名」で共演したケイリー・グラントとイングリッド・バーグマンとくれば、手を出さずにはいられない。

国際的に活躍する女優アンナは、義兄の知り合いで外交官のフィリップと知り合う。意気投合した二人だが、フィリップは「僕には別れられない妻がいる」と言う。普通の男なら逃げ口上に使うところだが、出会った日に告げられたことを、アンナは彼の誠実さだと受け取った。仕事で一緒にいられない大人の恋だが、フィリップは仕事先から飛行機で駆けつけたり、寝る前にベッドからの電話も欠かさない。しかし、フィリップには秘密があった。

「汚名」で映画史上最長のキスシーンを演じた二人が、時を経て再び共演するだけでも素敵なこと。二人がベッドで電話する場面のスプリットスクリーンの演出は、「パリの恋人」のオシャレな雰囲気を思い出させるし、謎多き色男なんてまさに「シャレード」のケイリー・グラントに通ずるじゃないか。

映画後半は二人の駆け引きが面白いが、その分だけ話がこじんまりとした印象も残る。ラストはじれったいし、予定調和だというご意見もあるだろうけど、だからこその100分に身を委ねられるし、大人の恋物語を素敵だと思える幸福感がある。舞台開演の時間も忘れてお喋りする、ただひたすら一緒に歩く。二人の恋の行方にハラハラする周囲の人々もこの手の映画の面白いところ。
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