ストレンジラヴ

ミッションのストレンジラヴのレビュー・感想・評価

ミッション(1986年製作の映画)
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「力が正義なら愛は必要ない。だがそのような時代に生きようとは思わない」

本作で起こったことは、パラグアイの先住民グアラニー族からすれば「ふざけんな」の一言である。自分たちの住処に勝手に入って来て、やれ神だ何だと唱えた挙句、今度はおたくらの領土分割の問題から全員村を出ていけと言い出す。神も領土問題も知ったこっちゃない。「それってあなたの感想ですよね?」としか言いようのない話。その中でガブリエル神父(演:ジェレミー・アイアンズ)をはじめ、宣教師たちは己の功罪に向き合うのである。
僕はカトリックがわからない。そもそも信徒ではないし、ただでさえ宗教観の希薄な日本人だからだ。だが「人生の終い支度」という観点で触れてみると実に強く共感する。
先住民と宣教師の触れ合いがベースにある作品なので、語り手の枢機卿を除けば、全編を通じて言葉で伝えるということをあまりしていない。その代わり目が印象的だ。最も目を多用しているのがロドリゴ(演:ロバート・デ・ニーロ)で、自身の過去との葛藤が節目節目で目つきとして現れる。
人生とは思い通りにいかぬもの。良かれと思って行なったことが巡り巡って罪となることもある。その罪に向き合った名もなき宣教師たちの姿が胸を打つ。