広島カップ

果しなき欲望の広島カップのレビュー・感想・評価

果しなき欲望(1958年製作の映画)
4.3
本作は私がこれまで観て来た今村昌平の作品の中で一番楽しめました。
観客を変に考えさせないエンタメ性の高い作風で「こういうのも出来るんじゃん」と思わせてくれました。彼はその後良くも悪くもドンドンコンガラガッテ行ったのがこれを観ると良く解ります。

終戦直後に軍からクスねて地中に埋めておいたモルヒネを掘り出し一儲けを企む男四人女一人の話。
欲の皮が突っ張っているというのはこういう面々のこと。
殿山泰司、加藤武、西村晃、小沢昭一、渡辺美佐子。皆んな若くてエネルギッシュ!
五人にトンネルを掘らせて土まみれにした彼等の表情が一癖も二癖もあって見事。
力を合わせてやってるわけではなく互いの欲で取り敢えず繋がっている人間模様を土臭いトンネル内に展開させた。
最後の落としも如何にも今村らしい。
人間の強欲をコメディタッチで描いたこれぞ正しく重喜劇でした。
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