三四郎

やっさもっさの三四郎のレビュー・感想・評価

やっさもっさ(1953年製作の映画)
3.5
戦後のパンパンとアメリカ軍人による混血孤児の話と言える。渋谷監督は戦後獅子文六ばかり映画化してるが何ゆえか。コメディでかなり笑えたが、ところどころ「深い」と唸らせる。戦争で負けたという日本男児のやるせなさ、敗戦国ゆえの全体的卑屈さ、あるいは開き直り…あゝそういう時代だったのかと思わせる、当時の時代背景がわかる映画だ。しかしあの旦那は何がしたかったのか…、今以て謎だ。一本筋の通った実はしっかりした男という設定かと思っていたが、どうもそうではなさそうだ。ラスト、黒ンボのトム坊がイジメられるシーンとそのバズーカ母親がいじめっ子に怒鳴るシーン…うるっときたね。この強い母親の子なら擦れずに成長できるだろう。それにしても映画の中では黒人との混血児が多いように感じたのは気のせいか。戦後の社会問題を扱った渋谷タッチのなかなか奥深い話だった。一度見れば結構な映画、二度は見たくない、これが渋谷作品なり。イロニーと深さ。淡島の演技が冴える。
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