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モダン・タイムスのmikanmcsのレビュー・感想・評価

モダン・タイムス(1936年製作の映画)
4.0
U-NEXTにチャップリン作品が大量に出たので懐かしくて鑑賞しました。本作は中学の頃に東宝東和のリバイバル「ビバ!チャップリン」の第一弾として公開され、映画館で鑑賞した記憶があります。戦前&白黒サイレントなので当時は「死ぬほど昔の映画」と思ってましたが、当時(1972)-制作(1936)=たった36年前の作品だったんですね。翻って現在(2024)-36年前=1988年。「ラストエンペラー」「ランボー3 怒りのアフガン」「フルメタル・ジャケット」の頃なんで、全然違和感ありません。ここ30ー40年で映画というメディアは円熟(進化が停止?)したということでしょうかね。

冒頭の工場のシーンだけは有名なので覚えていましたが、それ以外の場面は忘れていたので結構楽しめました。今から88年も前の作品なので、ギャグはベタすぎてさすがに大笑いはできないものの、だからつまらないのではなく、むしろ「スタンダード」「古典」の味わい・喜びを感じました。(ほぼ)サイレントなので仕掛け・仕草・表情・アクションのみで細かい場面を繋ぎつつ、一時間半飽きさせずに見せてしまう。名前はあげませんが日本の多くの「(自称)チャップリン・フォロワー」たちの批評精神のない下品な笑いをテレビで見て育ったためか、なんだかチャップリンを「ダサいものの代表」と思ってしまっていましたが、やっぱ本家は大したものです。

本作の制作された1936年は世界恐慌(1929)の傷跡がさめやらず、ヨーロッパではナチの台頭、日本でも226事件などWW2前夜のきな臭い時期。資本の横暴や非人間性をスラップスティック・コメディの体でうまくくるんで描く批評精神も秀逸。二人手を繋いで夕日に向かって歩いていくラストなど有名な場面もてんこ盛りだし、伴奏(Smile)も超有名。たしかにリバイバルの第一弾として「一本見るならこれ!」だと納得しました。

(ヒロインのポーレッド・ゴダート、街なかで裸足かよ!)
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