広島カップ

そして人生はつづくの広島カップのレビュー・感想・評価

そして人生はつづく(1992年製作の映画)
3.8
♪ジーグザグザグ、ジグザクジグザグ、一人キリッ!
「スニーカーぶる〜す」by近藤真彦(1980)
日本ではマッチがジグザグしていますが、イランでは険しい山を登る道がジグザグしています。

アッバス・キアロスタミ監督のジグザグ道三部作という言われ方をする作品群の二作目。
一作目『友だちのうちはどこ?』製作から三年後にイランで起きた大地震。一作目の舞台となったコケル村も被災した。本作は1990年にイランで起きた大地震発生五日後の現地の様子を映す半ドキュメンタリー作品。

淡々と地震の後始末をする現地の人々。打ちのめされてはいるが肩を落として止まっている人は映らない。老いも若きも皆身体を動かして復興に向けて働いている。起伏の激しいイランの地では重機が入り難いためだろうか?人海戦術で潰れた我が家を片付けて行く様子が写る。

これはやはり一作目を観てから鑑賞した方がよい作品です。
あんなに素直な子供達が生き生きと暮らしていた町が地震で粉々になっている様子として理解しないと、本作の映す地震の酷さは伝わらないのではないでしょうか。
そこに逞しく暮らすイランの人々。馬力を上げてジグザグ坂道を重たい荷物を背負って登る大人達は相変わらず子供達にガミガミ言うし、子供達も相変わらず元気がいい。

大地震で街は崩壊したが、緑の樹々は柔らかな陽光の元に美しく茂るイランの大地。
ラストにも写るそこにあるジグザグ坂道はイランの運命と力強さの象徴なのだろうか?
そして人生は続いて行く。長いジグザグした坂道を行きつ戻りつしながら山を越えて行くように。
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