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ラ・ブーム2のotomisanのレビュー・感想・評価

ラ・ブーム2(1982年製作の映画)
3.7
 悔しいけれどフランスとフランス人には眩しいものを覚えてしまう。ただ、羨むことはない、眩しいだけである。
 100分の光彩の中で回想するのは第2外国語にドイツ語を選んだ件である。眩い中に身を置くよりも、一歩引いて北の暗い森から足元を確かめ確かめ踏み出し、怪しい光暈の実相を質す事を良策とした次第だ。
 当時、1980年ころのフランスの凋落が文化立国を看板倒れにするのかと冷ややかに眺めたことを振り返りながら、それに対照的なこの映画からは、フランスの眩しさとは、それは王国の残光や文化スターの蝟集ではなく、ソフィ・マルソーをはじめとする当時を生きた人物たち固有の活気そのものであったことが偲ばれる。
 そんな中にフランス人離れした感じのソフィーが現れ、以来30年経ても高い人気を得ているというのがおもしろい。取り立てて美人でもなくアジア人似というくせのある容貌だが、むしろそのせいなのか妙な愛着を覚える。案外これが眩しいものの光源かもしれない。とすれば、一歩引いてドイツから眺めたフランスこそ奥手の証という事か、やれやれ。
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