空

パリ、テキサスの空のレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.0
テキサスの田舎特有の、だだっ広いだけで何もない荒涼とした大地。やっぱりこの雰囲気が堪らなく大好きなんだよなあ。『ノー・カントリー』が好きな理由も3分の1くらいはそこだし。

そんな舞台で淡々と描かれるのは、とある家族の再会と別れ。台詞は少ないながらも情感たっぷりなハリー・ディーン・スタントンの演技に、不覚にも何度か泣きそうになってしまった。いや、8ミリフィルム鑑賞会のシーンでは泣いた。あんなのズルいよ。

作中人物へのどこかドライで突き放したようなまなざし、そして差し色としての赤へのこだわりは、ヴィム・ヴェンダースが尊敬してやまないという小津安二郎に通じるものがある。
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