空

ダンサー・イン・ザ・ダークの空のレビュー・感想・評価

3.5
言わずとしれたラース・フォン・トリアーの代表作。鬱映画、胸糞映画の一つとして語られることが多いけど、実際に観てみるとそりゃあちょっと乱暴なカテゴライズなんじゃないかと思う。

ストーリーは至ってシンプルで、純粋で人好きのする主人公セルマが、そのあまりの純粋さゆえに転落していく様を描くというもの。ある時点で観客は直感的に最悪の結末を予感することになるんだけど、残酷にもこの映画はその不安を全く裏切ることなく真っすぐに進んでいき、そしてそのまま終わる。状況だけ見ればそこに救いはないんだけど、それまで2時間に渡ってセルマの心に寄り添ってきた観客には、彼女が満ち足りた最期を迎えたんだということがはっきり分かる。

相変わらずミュージカルは苦手なんだけど、本作におけるミュージカルシーンは全てセルマの空想という建付けだからすんなり受け入れられた。
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