keitty

ナイト・オン・ザ・プラネットのkeittyのレビュー・感想・評価

5.0
地球の裏側で同時刻に起こっているタクシーでの出来事にフォーカスして表現した発想がすごい。

言語や風景、登場人物のキャラが国ごとに異なるのも見応えがあった。

場所や時間に対して使用するonを大胆に規模を広げてon earthとして客観視している状態が、自分が神様になって人間を見てるみたいで面白い。

1話 ロサンゼルス
個人的には1番好きだった。「自分の行き先が決まっている」とまさにタクシーそのもので行き先に向けて進む姿がかっこよかった。

2話 NY
どの作品もラストシーンは乗客にフォーカスされてるのに、この話は本来であれば運転手であるヘルムートのカットで終わるのが印象的だった。お金は必要だけど重要じゃない。素敵!

3話 パリ
偏見を受ける側も偏見を持っている。ラストシーンが衝撃だった。この話辺りからジム・ジャームッシュの凄さに気づき始めた。パリ=自立のイメージがあるから、女性の強さが際立ってかっこよかった。

4話 ローマ
性癖やば男と命がけの神父様。神の悪戯でしかない。同じ画面の中にずっと語り続ける演技をしてる人間と、一言も話さない演技をしてる人間だけで展開が成り立ってるのが圧巻だった。

5話 ヘルシンキ
フィンランドだから雪降ってた。幸せな国の不幸なお話。ラストにこのストーリーを持ってきたの天才すぎる。日常に戻っていく感じと、夜が明けて行く感じがマッチして、鑑賞後の達成感がすごかった。

仏語、伊語を齧ってたおかげで、言語の変化も楽しめて非常に奥が深い作品でした。
keitty

keitty