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愛怨峡のleylaのレビュー・感想・評価

愛怨峡(1937年製作の映画)
3.9
失われていたフィルムが発見されDVD化された溝口健二監督作品。

昭和12年の作品で、ノイズだらけで大丈夫かなと思ったけど、慣れるとけっこう観れました。
トルストイの「復活」をベースにした物語。

旅館の女中おふみと、その旅館の跡取りの謙吉が駆け落ちする。謙吉は貧しさから実家に戻るが、おふみは妊娠し、一人で子供を育てる。
そして、アコーディオン弾きの芳太郎と漫才コンビを組み、地方を回ることになる…。

母になった女は強い。
か弱い女中時代とは別人のような気性になり、しまいには漫才までやる。

おふみが強く、たくましくなっていくのに反して、謙吉はいつまでも弱く、うだつが上がらないボンボンのまま。
芳太郎と謙吉が対称的なのがよかった。

当時の漫才シーンってあんな感じなのか〜。面白い展開のストーリーだった。

溝口健二は女性を撮り続けているけど、これはめっぽう気持ちのいい作品。

計算された長回しや横スライドのカメラワークもすでにあり、キレイな映像で観たかったな。

今作の2年後に傑作『残菊物語』が公開されているのだなぁ。

劣化が激しいから、溝口健二ファンにしかオススメできないかも🦆
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