ミシンそば

セントラル・ステーションのミシンそばのレビュー・感想・評価

セントラル・ステーション(1998年製作の映画)
4.1
ブラジルの映画には東欧の映画とはまた違った躁のようなエネルギーの迸りを感じる(多分まだ2~3本しか観てないけど)。
この映画もまたそんな感じ。
立ち上がりはやや静かで、主人公が代書業をやってるリオの駅は首都だけあって小ぎれい(でも殺人も含めた犯罪が周囲に遍在していて、日本人視点では異質感も感じるし、主人公らも結構軽犯罪をバンバンやってる)。
そもそもブラジルの文盲率は10%弱(ただしこれは最新のデータで製作当時のデータは知らない)。
しかも分母がデカいので10%は数千人とかじゃなく1000万人以上と言うのだから、そこも含めて異質感を感じる。

突然の不幸から母親を亡くした少年が、その代書業の女性と父親を捜して相当な距離を旅するロードムービー、
まァザックリとジャンル分けするならそんな感じではあるけど、先に言ったような異質感だったり、絶妙なバランスで希望だけを前面に押し出さない作風は、結構勇気のいる作りだとも思う。

ベタな映画だったらラストの意味はジョズエがドーラのことを忘れないことを示す単純な物に映っただろうけど、先に挙げた異質感、希望の無さ、喧騒と犯罪、ドーラの父のエピソード何かを踏まえると、穿った見方をしがちな自分はジョズエがドーラのことを覚え続けることはないんじゃないかって思ってしまう。

映画の終わり方と言うのは、希望が全てではない…ってこと。