カタパルトスープレックス

つながれたヒバリのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

つながれたヒバリ(1969年製作の映画)
2.8
チェコのイジー・メンツェル監督の社会派コメディー作品です。

当時は社会批判をコメディーで描いたメッセージ性のある作品だったと思うのですが、民主化とともにそのメッセージも風化してしまった感は否めません。時代性が強い作品で、普遍性はあまりありません。約20年間も上映禁止されてしまったのは非常に残念でしたね。だって、肝心のメッセージの部分は今のボクたちが観てもよくわからないですもの。

共産圏時代のチェコスロバキアはヴェラ・ヒティロヴァ監督の『ひなぎく』(1966年)みたいな😂頭のおかしい😂映画がたくさん作られているので、表現の自由がなかったわけではないようです。ただ、政治的なメッセージはご法度だったということなんでしょう。

チェコ・ヌーヴェルヴァーグの特徴の一つはブラックユーモアだと思います。イジー・メンツェル監督のユーモアの方向性は社会批判に向いてしまったところが普遍性を獲得できなかった要因だと思うんですよね。当時のチェコスロバキアの人たちには熱狂的に受け入れられたのでしょうが、いまのボクらには、いまいちピンとこない。雰囲気のあるユーモラスな作品だとは思います。でも、肝心な部分にがスポッと抜けてしまっている。気が抜けたコーラみたいな感じ。

悪い作品じゃないし、昔はこういう映画があったんだという「お勉強」にはいいと思います。ただ、エンターテイメントとして楽しみたいのなら、もっと面白い作品はたくさんあると思うんですよね。