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血斗のジャンゴのHKのレビュー・感想・評価

血斗のジャンゴ(1967年製作の映画)
3.5
スター・チャンネルの「特集:ジャンゴたち!」の録画連続鑑賞の勢いに乗じて、DVDを買ったまま観るタイミングを逸していた本作も続けて初鑑賞。
結果、連続5作品の “ジャンゴ”マラソンになりました。
ただし本作にも実は“ジャンゴ”なるキャラは登場せず、“ジャンゴ”がついているのは邦題のみという、マカロニ・ウェスタン得意の邦題詐欺。
でも本作が今回初見の一連の“ジャンゴ”映画(?)の中では一番面白かったりしますからわからんもんです。

原題は“Faccia a faccia”、英語だと“Face to face”(対面、対峙、直接対決)。
主演はこの時期マカロニ・ウェスタンで快進撃中の個性派二人、ジャン・マリア・ボロンテとトーマス・ミリアン。
『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』でギラギラした野性的な悪役を演じたボロンテが本作では結核持ちの青白い大学教授、片や『復讐のガンマン』『情無用のジャンゴ』のミリアンはヒゲ面にオカッパ頭という怪しい見た目の盗賊団のリーダーという対極の役柄。

いきなり大学でのボロンテの講義シーンから始まる意表をついたオープニング。
西部劇ではお馴染みピンカートン探偵事務所の実在したスパイ(シリンゴ)による罠。
直接見せないものの『ソルジャー・ブルー』を思わせる自警団によるコミュニティ大虐殺。
そして、脱走した盗賊とその人質という立場から時間の経過と共に変化する二人の関係を描く本作は、多くの量産型マカロニ・ウェスタンとは一線を画し、単なる娯楽の域からもはみ出した不思議な余韻の作品でした。

ボロンテは本作の前年の『群盗荒野を裂く』あたりから社会派作品を選ぶようになり、70年代には『死刑台のメロディ』やパルム・ドール作品に出演。
80年代にはカンヌとベルリンそれぞれの映画祭で男優賞を受賞しています。

邦題を後付けで“〇〇のジャンゴ”にされたのは2回目のミリアンは、マカロニに出すぎたせいか賞とは無縁ですが、実はアクターズ・スタジオ出身の演技派イケメン。80年代後半にはハリウッドに凱旋して大作にも出演しています。

Wikiによると初のTV放送時の声優はボロンテが広川太一郎、ミリアンが小林清志。
私としてはイメージが逆なんですが、Wikiの間違いじゃないですよね。
ということで、今回の“ジャンゴ”マラソン、息抜きのつもりがかえって疲れた気もしますがこれにて終了。
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