泣いてしまった。
びっくり。
公開直後ぐらいに観たときは
つまらなかったって確かに思ったんです。
あの頃はたぶん
三谷幸喜=笑える邦画の期待が高くて
コメディとして観たからだったのかも。
あれから10数年
受け止め方がこんなに変わるとは。
ほぼ2人劇です。
戦争も厳しさを増し
国民の娯楽が取り締まり対象となっていた
昭和15年、
観客が心から楽しんで笑えるよう
喜劇を書いて上演許可を求める作家と
ただ笑うためだけの観劇などご法度!と
細かいダメ出しを繰り返して
きつく取り締まろうとする検閲官。
2人のやりとりだけで
ほぼ全編成り立っているので
最初こそ
口がうまく回らない稲垣吾郎の存在に
ちょっと不安を覚えたんですが。
無味無臭の
乾燥高野豆腐のような役所広司と
芯はあっても主役オーラゼロの
名もない葉物みたいな稲垣吾郎の
コンビネーションが思いのほか良すぎて。
物語としても
起承転結の結びまでの完成度の高さが
しっかりと感じられました。
あたしが劇団に入っていたら
金色夜叉…ではなく
この映画を舞台化して演じてみたいなあ。