鍾馗

ロケーションの鍾馗のレビュー・感想・評価

ロケーション(1984年製作の映画)
4.2
【あの頃の故郷へ】

福島県いわき市常磐湯本町。
まだわたしが10代だった頃の湯本に会いに浪江へ。

森崎東監督作品 『ロケーション』

ピンク映画のカメラマンである小田辺(西田敏行)は、妻で主演女優の奈津子(大楠道代)が自殺未遂し、撮影がストップし困りはてていた。たまたまロケ現場として借りた連れ込み宿の掃除婦笑子(美保純)を強引に主演女優の代役にしたてて、撮影を続行させる。しかし撮影中、監督(加藤武)は病気で倒れ、笑子は自分の田舎に墓参りに帰るので撮影は降りると言い出す。笑子の帰郷を逆手にとり、ロケ場所を笑子の故郷である福島の湯本に代え、その場その場で脚本を変えながら撮影していく。

ずーっと観たかったのです。
やっと観ることが出来たのです。
浪江まで行ったけど。

観たかった理由は、あの頃の湯本がフィルムの中に焼き付いているから。
もう今では跡形もない三凾座。
湯本駅前、観音山下の『湯本温泉郷』のネオン看板
スパリゾートではない常磐ハワイアンセンター。
ウチの祖父母と父が眠っているお墓から上町踏切に向かう道路。
国鉄を渡る陸橋の階段下の通り。
懐かしい。
これだけでも観に来た甲斐がありました。

西田敏行、美保純、加藤武、柄本明、大楠道代、佐藤B作、音羽信子、殿山泰司、角野卓造、矢崎滋…、みんな若いです。
美保純なんか蒼井優より先にフラガールやってるし。

お話もラストは人情噺でなかなかに感動させます。
美保純の泣きの演技で持っていかれそうになるところを大楠道代の啖呵が現実に引きずり戻し、そこから畳み掛けるように二人の女優の、演技なのか素なのかわからないぐらいに真に迫ったバトル。
必見です。
おっぱいがいっぱいですがそんなの気にならないぐらいの『芝居』を堪能できます。
機会があれば是非ご覧ください。
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