ちろる

眠る男のちろるのレビュー・感想・評価

眠る男(1996年製作の映画)
3.8
「泥の河」「死の棘」の人間の内部抉るような世界観とは違い、まるで自然たちが人間たちの生き様を見つめているような視点で描かれた神秘的で静謐な作品。
暗闇の中で奏でる四季のさえずりを際立たせるために、不純物をなるべく取り除いて作られたような小栗監督の美学を見せつけられた。
霊的な存在を感じる、超自然的な感覚に基づいた営みの映像たちがわたしにも少しは残っている日本人としての魂が鳴り響き、私は今まで果たして人間らしく生きてこれたのだろうか?という問いに達してしまうほど。
だから繊細で、清らかでな作品について、競争社会、資本主義に塗れたわたしがつらつらと書くこと自体憚られるほどだ。
黒沢明監督の「夢」や、「ブンミおじさんの森」「2つ目の窓」なんかの世界観が好きな人には是非観て欲しい、深い部分での心の癒しを与えてくれた究極の和製ヒーリング。
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