広島カップ

キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒の広島カップのレビュー・感想・評価

4.0
700万ドルの遺産を相続するには今夜7時迄に結婚をしなくてはならなくなった男の奮闘記。

チャップリンが『黄金狂時代』(1925)を作った年のキートンの作品。
1920年代のサイレントの喜劇役者というのはトコトン体を張って映画を作っていたのだなぁと改めて感じます。言葉で笑わせる事ができない彼らが作り上げた笑いの芸術。
キートン30歳の時の作品ですが、ある意味28歳の大谷翔平と同じレベルのフィジカルタフネスを感じます。
彼が風のように全速力で駆けている姿を並走するカメラでズット撮っているシーンなんか実にカッコいい。

前半は死んだように大人しい展開ですが、後半に入って俄然画面がダイナミックになって喜劇の面白さが膨らんで行きます。無表情の男が加速度を付けて身を翻し超人的に画面を飛び回る。
笑わせるアイデアとそれを実現するフィジカルと二つ揃って初めて生まれる二刀流の笑いです。
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