SHOHEI

間諜最後の日のSHOHEIのレビュー・感想・評価

間諜最後の日(1936年製作の映画)
3.6
第一次世界大戦下。ドイツとアラブの交渉を阻止するため、作家でありイギリス軍大尉のブロディはアシェンデンという偽名でスイスに潜入する。内通者に会うため村の教会を訪れるが既に殺されており、死体の手に握られていたボタンからドイツ側の交渉人を突き止め、殺害する。しかし殺害した人物は全く無関係の人間で…。

大戦下、スパイ、ホテル、列車。そしてユーモアと男女のロマンス。軽妙な雰囲気はこの時期のヒッチコック映画そのもの。全体的には楽しい作品だが、誤った人物を殺害してしまったことからさらなるトラブルに発展する、という展開にはならずもったいない。あらすじを読む限りではこのプロットこそが肝だと思ってたのに。今見るには耐用年数を明らかに過ぎている感じも。メロドラマ風の恋愛に、女性が感情的に行動する生き物として描かれている点、あっさりしすぎる結末。現在ならもっと重厚さが求められるところ。当時批評家たちがヒッチコックをエンターテイメント劇作家、もしくは職人監督と見なしていたことにはおおむね同意できる。ただファンとして割り切ってみればヒッチコック印の娯楽作として楽しめる。
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