観てる間ずっと下腹がズンと重かった。
横たわる母親が娘に歌を託す、その歌詞はペルーの歴史の闇を示唆し、自身の悲痛な体験を物語る。
その体験を母乳から受け継いで「恐乳病」にかかったと信じる娘の物語。
他人と話すことも出来ず、封じ込められた心の痛みを溢れ出すように歌う、即興歌。歌うというよりも、自分自身と対話しているようだった。
あんなにも人に恐怖を厚く塗り込むことが出来るのだろうか..
男性を恐れるあまり、身体に異物を詰めて蓋をしているのには動揺した。
陽気に生きる南米の人々の中で、母親の苦しみを継承しオドオド生きる主人公の姿はあまりにも悲しい。
陽と陰を対比しながら、心の成長を淡々と描き、花を咲かせるという"希望"の描き方が美しく素晴らしかったです。
時々はっとする程美しい画面に目を奪われる。撮影があの美しい映像作品「シルビアのいる街で」のナターシャ・ブライエだったことにも感動。
詩情溢れる寓意劇でした。