ミシンそば

チャイニーズ・ブッキーを殺した男のミシンそばのレビュー・感想・評価

3.9
カサヴェテス本人は出ていないが、キャラへの自己投影が一番激しい作品なんではなかろうか、今日観てて思った。
血も涙もないフィルムノワール然とした世界で、ショウへの情熱が常軌を逸しているキャラが主人公。
例えは多少乱暴だが、そんな世界に転移してしまったカサヴェテスの話かな、と自分は受け取った。

借金を完済したのに自分のクラブで雇ってる女の子たちとバカやってあっという間にまた借金作る(ここが凄いグダグダで、結構寝落ちしかけた)
情熱を向ける対象に対しては、どこまでも純粋になれるのに、それ以外の全てにはてんでダメで、そこをつけ込まれてマフィアに刺客紛いのコトをやらされてるんだから世話ァないや。
本題に入るまではかなりかかるが、いざ入ってからは話の流れから能天気さもすっかり消え、真っ正面ど真ん中なフィルムノワール展開へと滑り落ちて行く。

映画からショウ(割りといかがわしいストリップショウ)へと情熱を向ける先は変わっているが紛れもなく本質はカサヴェテスの宿すモノ。
それに額の血管の浮き上がり方まで(もともと顔似てるけど)再現して見せた盟友ギャザラが重なれば、自ずとマリアージュは起きるわけで。
そこに喝采を送りたい。