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落穂拾いのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

落穂拾い(2000年製作の映画)
3.8
アニエス・ヴァルダの<拾う>ことについてのドキュメンタリー。さすが農業国フランスらしい、余剰生産物の行方と人が捨てたものについての徒然。フランスでは貧しい人が収穫後の畑で落穂を拾う権利ははるか昔から存在し、16世紀より法律としても規定されていた。

米文化の日本にそういう慣習があるとは聞きません。柿等の果実を木守りとして残すことはありますが、それは貧者へではなく、豊作祈願や鳥等の生物へ。

アニエス・ヴァルダの好奇心は尽きません。さまざまな人たちに尋ねまわる。拾う人、捨てる人、残す人、残さない人、食物以外に捨てられたものを再生する人も。生まれてきたモノの行方の流れの中で、出会う人たちでした。

 モノの流れ、それを<流通> と一般には呼びます。 余剰生産物がなぜ生じるかにも軽く触れていましたが、サプライチェーンを逆に遡ってほしいとチラリと思いました。

徒然のエッセイのようなドキュメンタリー。モノがないと生きていけない人間のサガが見えてきた気がしました。日本土産をヴァルダがカバンからごっそり出すところがおかしかったです。旅行けば、何もかも珍しく、使い途もわからないものをつい買ったり、パンフ集めたり…ヴァルダもそのようでした。

フランスの<落穂拾い>は動詞があり、名詞もありました。良い文化だなと思いました。

こういうエッセイ的映像おもしろいですね。何かテーマを見つけて軽い気持ちで撮ってみたくなりました。今ならそれをYouTuberというのかしら。
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