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籠の中の乙女のnanacoのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
3.8
公開当初映画館に観に行って、ラストのシーンで呆気にとられたのを思い出した。「え?!ここで終わり?!」って。
その先が気になるのに。

一生のうち、およそ映画の中でしか出会うことがないであろう奇妙な形の家族。
世界の汚い部分を一切見せずに子供を育てると、どこかでひずみが起こると思う。汚くて気持ち悪いもの、暴力的なもの、性的なもの。大人になっていく過程でどこかで見聞きし、知っていくことで人間は成長する。それは避けられないことなのに、この父親はそれができてしまった。
体は完全に大人なのに、どこかあどけない表情の息子、娘が印象的だった。母親は父親の言いなりだろうか?この異常な環境を受け入れているのが不思議だった。
無菌室のような退屈な家の中で、外部から入ってきたクリスティーナというバイ菌。長女はそれに触れてしまったことで、どんどん歪んでいってしまった。両親の結婚記念日に踊ったダンスがほんとに不気味。こわれたおもちゃのようだった。
演者さんが魅力あるからなのか、なんとなく映像の雰囲気も好きでまた観たくなる作品。

鑑賞後は、観てはいけないものを観てしまったという感覚。その後の家族がどうなったのか気になるが、それを聞くのは無粋なのかも。
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