うめまつ

籠の中の乙女のうめまつのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
3.4
タイトルからして窓もない地下室で監禁されてるのを想像してたので、めちゃくちゃ開放的かつ豪華なお家でびっくりした。パパの歪んだ教育方針が育まれた過程も去ることながら、それを支える資金源が気になっちゃう。そしてこれは私のような耽美少女趣味の人間を陥れる邦題の罠ですね。『エコール』と同じフォルダに入れちゃってたよ。

見ていて一番強く感じたのは、この不自然な家はお隣の国の縮小版なんだろうな、という事。なのでブラックコメディ的には見れなかった。そして誇張して描かれてるけど、日本でもこの計画は着実に遂行されている。搾取する事で選択肢と視野を狭め、管理してる側ではなく管理されてる者同士でいがみ合うよう仕向け、指示に従う者だけに褒美を出し、従わざるを得ない構造を作ってくる。現実の方がよっぽどホラーだ。

映画(が録画されているビデオテープ)とその再生装置(ビデオデッキ)で物理的に殴ってくるところ、怖過ぎるんですけど。発作的にではなく冷静にガムテープを所望するところが特に。自由を空気のように吸ってぼんやり生きている、私のような鑑賞者の頭をかち割ろうとしてるのかな、と思った。

私が観たバージョン(R15+)は猫にモザイクがかかっていたので本当に助かったけど、かかってなかったら鑑賞やめてたかも。何かしらで動物が傷つけられる描写がある事を事前にお知らせして欲しい。予告なく見せられると性描写よりよっぽどキツいから。
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