うめまつ

ZOOのうめまつのレビュー・感想・評価

ZOO(1985年製作の映画)
4.0
マイケルナイマンの贅を尽くした奇妙なMVことピーターグリーナウェイに、訳もわからず心酔していた10代の頃を思い出して、恥ずかしさとよくわからない誇らしさで感情が相打ちにあい無になってしまった。こんな動物が腐敗していく様を延々と流し続る動物虐待映画大嫌いなんだけど、このやたら研ぎ澄まされた歪んだ美意識に吸い寄せられてしまうのも事実。

白鳥との衝突事故とか、足は二本だから美しいとか、フェルメールの描く女性には足がないとか、ゼブラ柄のパンツとか、元に戻りたがる結合性双生児とか、カタツムリ王国とか、描かれていることぜーんぶがぬめっとザラっとしててやな感じ。終わり方も《絶対にこうはなりたくないラストシーン選手権》に入賞している。なのに映像は破滅的に美しいから困る。監督の頭の中のビジョンが隅々まで再現され、風の軌道までコントロールされているような完成度でお届けしてくる。結局グリーナウェイのこと好きなのか苦手なのか判別できないけど、考えれば考えるほど面倒くさい存在だということだけはわかった。
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