映画大好きそーやさん

夏の遊びの映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

夏の遊び(1951年製作の映画)
4.1
皆さん、大変お待たせしてしまい申し訳ございませんでした!
ベルイマンマラソン企画、レビュー第3弾です。(第1弾『野いちご』、第2弾『仮面/ペルソナ』も併せてご覧下さい!)
見た順番通りではありませんが、順々に公開していく予定ですので、ごゆるりとお待ち頂ければ幸いです。
では、本編へどうぞ!

生と死の狭間に揺れた恋愛、果てに行き着く人生の肯定。
女性版『野いちご』を経た、『仮面/ペルソナ』という感覚が強い作品でした。(作品が作られた時系列はひっくり返っていますが、作品の根底が似通ってしまうのは同監督であれば多分にあるでしょう。正確に言えば、『夏の遊び』の要素を分解した作品として、『野いちご』や『仮面/ペルソナ』があるということになりますね)
ベルイマンの作品という観点から見ると、とても観やすい部類だったと思います。(レビュー(公開時は感想レベルのものになっているかもしれませんが、随時情報を追加し、レビューの体を目指す所存です)も書きやすいだろうと言うことで、本作を優先して書かせて頂くことにしました)
インターネットで感想やレビュー等を調べていたところ、本作の原案となった小説『マリー』は、ベルイマンが17歳の時に書いたものらしく、どれだけ優れたクリエイターであったのかが窺えます。(間違っていましたら、正しい情報を教えて頂きたいです!)
良いところを挙げていきますと、本作は何と言っても、映像の美しさが群を抜いて素晴らしかったです。
内容も然ることながら、その瑞々しさ、多幸感たるや、他の作品にはない魅力となっていました。
キャラクター造形やストーリー展開等、感性に関しては若めで、『野いちご』を先に観た自分としては、少々浅さを感じる部分はありました。
ただ本作は、それをもってしても良さの有り余る見事な脚本に支えられた1本だったと思います。
簡単な概要としては、プリマ・バレリーナとして舞台に立つマリー(マイ・ブリット・ニルソン)が、かつての恋人であったヘンリック(ビルイェル・マルムステーン)の日記が届いたことをきっかけに、13年前にヘンリックと過ごした、夏の輝かしい日々を回顧し始めるといった内容となっています。
『野いちご』の主人公よりマリーは若く、かつ作品全体が恋愛ものとして組み立てられていることもあって、若者でも作品に入り込みやすく、普遍的なドラマとしても楽しむことができたと思います。
ヘンリックとの恋愛の末路も劇的で、エンタメ性までしっかり担保されていたのも印象的でした。
ネタバレこそしませんが、ラストカット直前の楽屋のシークエンスがあることでの救い、冒頭にも示した人生の肯定が、とにかく心に染み渡り、気付けば涙ぐんでいる自分がいました。
総じて、普遍的な恋愛ものを踏襲しつつ、『野いちご』的ツイスト、『仮面/ペルソナ』的自己言及を経て、辿り着く温かいラストに、静かに胸を打たれる名作でした!