デニロ

第十一号監房の暴動のデニロのレビュー・感想・評価

第十一号監房の暴動(1954年製作の映画)
3.0
1954年製作。脚本リチャード・コリンズ。監督ドン・シーゲル。

映画館ストレンジャーのチラシには、/ドン・シーゲルの名を世界に知らしめたキャリア初期の名作。シーゲルは、自らが監督した作品の中でも「最高の一本のひとつ」と位置付けており、その後の輝かしいキャリアを築く上で重要な仕事となった。
ある刑務所の第十一号監房での生活に不満を募らせた囚人たちは、リーダーのダンを中心に決起する。暴徒化する囚人たち。一触即発の状況。囚人たちに本物の勝利は訪れるのか。/と紹介されております。

当時アメリカでは刑務所での暴動が頻発していて社会問題化しているというようなニュースフィルムが流れる。囚人たちの要求は、待遇、環境の改善とのことで、本作もその流れのお話です。

とある刑務所の第十一号監房からその狼煙が上がります。看守を騙していとも簡単に鍵を奪い取り押し込められている囚人房の鍵を解錠する。片や慌てふためく刑務所側は茫然自失。片や囚人側はこれからどーしようと主導権争い。とりあえずリーダーは『マッド・ボンバー』で強姦魔役を演じたネヴィル・ブランド。もう一人はとち狂っていて何もかもが気に入らぬ風のレオ・ゴードン。彼には誰も文句を付けたくありません。

そんなこんなで改善要求の書面をインテリの大佐に依頼する。監房を改築しろ、病人は病院に入れろ、足枷は嫌だ、出所後の生活手段のために技術を習得させ云々。手にした刑務所の所長は、着任以来言い続けていた内容なので、否も応もない。自分は判を押すと、ついては知事さんも同意してくれと説得に掛かる。

所長と知事の署名を得て狂喜乱舞する囚人たち。が、時間の経過とともに本当に実現するのかと焦り始める。そんな時にネヴィル・ブランドがぶん殴られ政権交代。良くないことは続くもので、容認されてと思っていた要求を基にした提案書が議会で否認され、囚人たちには暴動に対する罪が加算され、とち狂っていたレオ・ゴードンは精神病院送りとなり、ネヴィル・ブランドには扇動罪が適用され30年の刑が加算される。

このラストシーンで所長が、自分と同じ夢を観て挫折したネヴィル・ブランドにその敗北を知らせるのだが何とも言えぬ雰囲気を醸し出されている。更に、辞任を迫る州議会議員に、わたしは世論に阿ってでも職に留まる、それがネヴィル・ブランドの為にもなるからだ。え?そういうことなの。

そんな風に妖しく物語は終えるのです。

さて、本作からサム・ペキンパーがドン・シーゲルに師事することになるという歴史的作品。

映画館ストレンジャー ぶっ飛ばせ!ドン・シーゲルコレクションにて
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