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顔のyadokariのレビュー・感想・評価

(1957年製作の映画)
3.4
その前に観た『張り込み』と同じ原作であり刑事ものミステリー。ほとんど同時に作られて、大木実が主演なのだが、ヒロイン役がそれぞれ岡田茉莉子と高峰秀子。二人は成瀬巳喜男『浮雲』で共演していた。それぞれの役どころの違いが出ていて面白い。岡田茉莉子はのし上がっていく悪女タイプのモデル役。対する高峰秀子は純愛を通す主婦役だった。

映画としては共感しやすいのは、高峰秀子のほうだろう。悪女に共感する人はいないと思う。ただ『顔』も千石規子のおでん屋の女将が面白い。ヒロインの昔から知る友人なのだが貧しい苦労時代を知っているところで共感を得ることが出来るが最初に悪女のイメージが付いてしまったから、それがネックになっている。『顔』は比較的くり返しドラマや映画でもリメイクされているが、なかでも藤山直美主演の阪本順治監督『顔』が評価が高いのは藤山直美に共感する部分が多いからではないか?

岡田茉莉子も演技が下手ではないのだが、悪女役が板に付きすぎるというかそういう顔なのだと思う。
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