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結婚期のotomisanのレビュー・感想・評価

結婚期(1954年製作の映画)
3.5
 日比谷の東宝からほんの数ブロック、当時は有楽町だった東京都は映画「生きる」の好評にいたくおカンムリであった。
 どこぞの田舎町の振りをしてるが、あれは東京都への当てこすりだ。現にあの総務課長も助役も当方の×××等にそっくりじゃないか。そこで宮口精二似の男を東宝に遣わすと2年後、出来上がった映画がこちら、かどうか知らんけど。

 しかし、例えば次のような批判は考えられるだろう。

・公園開設は公園緑地課の専権事項である。
  対応:はい、はい、おっしゃる通り。
・よりにもよって何で葬式なのか!
  対応:では結婚話、お見合いなんかもどうでしょう?
     両手両足まで花だらけではいかが?
     庁内恋愛?滅相もない!
・職員の健康管理は万全、死にそうな課長などおりゃせん。
  対応:主人公は念のため、医者のとこに
     居候させましょう。
     念には念をで見合い相手も女医にしましょう。
・苦情係りの市民課がやけっぱち課長だのヒーロー課長を
 出してどうする!
  対応:なんせ花だらけの女難映画という事で、
     ヒーロー活動だなんて。
     政策遂行はサクッとアピールなんてとこで。
・若手だって日守なんかじゃなく鶴田浩二みたいな
 粋のいいのが多分いるぞ。
  対応:鶴田のイメチェンにちょうどいいですね。
     係長ポストでは?年功序列に障りましょうか?
・それが係長になっても妬むやつなどおりゃせんわい。
  対応:念写が起きない程度で、妬むのはこっそりどうぞ。
・接待もテレビ出演も民間との交流上不可欠である。
 謝礼をとって悪いか!
  対応:堂々と受け取る、ということではいかがかと?
     それとも、代理人を立てるという事では。
     癒着に汚職?いまさら申すに及びません。
・街灯の無い公園にだって長所はあるはずだ。
  対応:逢引にはもってこいかと。
・スラムクリアランスは住民の自発的退去しか念頭に
 ありゃせんぞ。
  対応:都民への暴力は台風止まり、
     愛情はいつも都庁(鶴田浩二)から、
     太陽政策発揚に努めます。
・次の都知事選挙の半年前には成果を示すように。
 よいな、よいな。
  対応:御意。1954年11月を目指してまいります。

 てな次第で55年都知事選では、汚職と癒着で渡世に活気を付けた安井誠一郎は都知事三期目に。得票率は対前回10ポイント落ちの50.93%、次点(有田八郎:社会党推薦)とは4.6ポイント差であった。投票率も5.6ポイント落ちの59.63%であった。
 映画「結婚期」はおおむね「対応」の通りだが、結果は「街灯の無い公園」に持っていかれて、以降、東京の公園は●●な二人連れの宝庫となり、それを目当ての盗撮写真家が群れを成す事態となった。その群を抜いた写真家吉行耕平「The Park」が世界的評価を得たのは1980年、安井都政の遅すぎた成果である。
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