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時計じかけのオレンジのmikanmcsのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
5.0
たまたまムーグ・ミュージックを聴いていてこの映画のことを思い出し、懐かしくなって鑑賞。初見は中学の時でした。もう50年以上前の作品ですがまったく古びておらず、今観てもすげえ。。。

オープニングの「オレンジ」→「ブルー」→「アレックスの顔の大写し」→「次第にミルク・バーの引きの全景」で一気に持っていかれます。(余談ですが、大阪/心斎橋のナイスなレコードバー「Milk Bar」の店名はここから取ったとご主人に伺いました)

本作は色々なことが浮かんできて、うまく文章にまとめられないので以下箇条書きにします。

・本作(71年)前に類似の作品が思いつかない。本作に影響を受けたフォロワーは数しれず。あまりに独創的な映画。
・近未来だが北欧っぽい美術セットがモダンでポップで素晴らしい。パステルカラーを多用してたのは今回気がついた。
・民生委員のおっさん、刑務所の看守長、半身不随にされた作家が怒りに震えてワインを注ぐ場面、3Pの早回しなど、笑っちゃう場面も結構あり。
・アレックスの母親、行動は普通なのにファッションがブッ飛んでてツボ。遊んでますね。
・荒れ果てたアレックスの実家の公団住宅のイメージは現実を先取り。(パリ郊外ではリアル)
・下からの構図、静的に俯瞰的で固定されたカメラなど、「キューブリック!」とわかるシーンが多数。
・ウオルター・カルロスによるシンセ・ムーグ、今聞くと音色にレトロ感があってキュート。
・マルコム・マクダウェルの強者におもねる腹黒い感じ、ラストでメシを食わせてもらっている時の狡猾な表情が最高です。
・映像的にはセンスの塊だが、全篇にキューブリックの皮肉、悪意、辛辣さ、悪ふざけを感じる。

若いときに観たせいもありますが、私は「2001年」より本作のほうが衝撃でしたね。キューブリックって、やっぱレベル違うわ。。。参りました。
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