キミシマユウキ

地獄の英雄のキミシマユウキのレビュー・感想・評価

地獄の英雄(1951年製作の映画)
3.9
大手新聞社をクビになったチャールズは田舎の小さな新聞社でトクダネを探していたが、そこで穴にハマって抜けられなくなった一人の男をみつけて.....

『情婦』『サンセット大通り』のビリーワイルダー監督作品。
古典作品も見ていこうということでワイルダー監督のフォロワー様のオススメを鑑賞。
アカデミー脚色賞をノミネート

「不幸なニュースが一番売れる。良いニュースなんてニュースじゃない」

”地獄の~”なんて邦題だからてっきり戦争映画と勘違いしていたのだが、
かなり風刺的メッセージ性の強い作品だった。
マスメディアの暴走と危うさ、そしてそれに扇動される民衆の愚鈍さを痛烈に批判したような作品がこんな時代に作られていたとは!!!驚きィ!!!
と書こうと思ったが、そういえばフランクキャプラ監督の『群衆』でも同じようなテーマを描いていたからやはり名監督は目の付け所がシャープだねっ☆ということだな。
50年代版の『ナイトクローラー』(2015年日本公開)といっても違和感がないくらい主人公がスクープを大きくするために暴走していく姿はある意味滑稽だ。それにのっかり金に目のくらむ被害者の奥さんや他の報道関係者たち、群がる民衆…。なんだか人間の恥部を映し出されているようだった。
ワイルダー監督らしいコメディチックな作風は今回抑え気味だったので終始真面目に展開していき個人的にはいつもの彼の作品より好きにはなれなかた。

主演はカークダグラス。
キューブリック監督の『スパルタカス』で知ったマイケルダグラスのパパさん。新聞記者というよりは格闘家のようないかつい体つきではあったが猛進していく演技はさすがといった感じだ。
あとは知らんかった(雑)

マスコミの暴走を見るという意味では『ナイトローラー』の方が好きだったし、ワイルダー監督のオススメはと聞かれても少し出しづらい…名作であることには間違いないのだが、個人的にはハマりきらなかった。いや、面白いんですけどね!?!?!?

~オマケ~
原題は
[Ace In The Hole]
なのだが公開してまもなくしてから売れ行きが微妙だったらしくパラマウントが監督に許可なく名前を
[The Big Carnival]
に変えたのだとか…
この時代は自分の映画名前も勝手に変えられて大変やな!!

ビリーワイルダー監督好き、マスコミ暴走映画好き、そしてマイケルダグラスのパパの活躍をっ観たい方にはオススメの作品。