安堵霊タラコフスキー

雲から抵抗への安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

雲から抵抗へ(1979年製作の映画)
4.7
撮影のスタイルが固まった感のあるストローブ=ユイレの長編。

相変わらず前半の戯曲の内容は話半分程度にしかわからないし、後半も原作小説のあらすじ読んだときと印象が全然違ってたんだけど、やはり人物の長回しとスパイス的な少量の高速カットバックは心地良い。

一緒に映ってるシーンがないのに人物の位置関係がわかる冒頭のモンタージュとか死にかけの狼とかが印象的だった前半も、人物の歩行と共に変わる後ろの景色が何故かとても印象に残るシーンがあった後半も、作者が同じってこと以外関連性は無いだろうけど画的に中々見応えがあって、ちょっと危ないところはありつつも最後まで寝ずに画面に集中することができた。

それにしても後半部、大事なところをナレーションだけで済ませる力技は逆に潔くて清々しいけど、うしおととらとか封神演義とか長編漫画の無茶なアニメ化もこれだけ潔いカットをしたらある意味伝説になったのではなかろうか。