great兄やん

アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)のgreat兄やんのレビュー・感想・評価

4.2
【一言で言うと】
「絶望、そして再生」

[あらすじ]
アンドレイ・ルブリョフ、ダニール、キリールの3人の画僧は、長年暮らしたザゴルスクのトローイッツェ・セルギエフ修道院を出て、新天地モスクワを目指していた。しかし、長年の支配階級や権力闘争に蹂躙されていき、遂に大公の留守を狙って、大公の弟とタタール兵の連合軍がルブリョフらを襲撃する...。

結論から言うと想像以上に観やすかったし面白かった。
ストーリーラインも分かりやすく描かれており、尚且つタルコフスキー作品にありがちな難解な表現も薄めで3時間という長尺ながらも意外と集中して観ることができましたね🤔

ただまぁ宗教的なテーマが強いので気軽に観れるものじゃないけど(ー ー;)...それでも映像のレベルとしては間違いなく前作『僕の村は戦場だった』よりも遥かに超えている。
特に“自然”を駆使する映像美はまさしく“タルコフスキー”だよな…って思いましたね(・・;)

とにかく映像の美しさもだが、それ以上に“見応え”というものが並大抵の映画では到底味わえないほど途轍もないしハンパない!!
中盤のタタール人が村を襲撃して市民を虐殺するシーンなんかはもう凄まじさの一点張りですし、それに加えてダイナミックな描写から滲み出る叙情的な美しさはまさしくタルコフスキーならではの“質感”が最大限にまで溢れ出ている。

それにストーリーとしても主人公アンドレイ・ルブリョフの半生と15世紀ロシアの政権闘争を上手く絡めており、その上人物描写の奥深さも充分と言っていいほど巧い。
ルブリョフの直面する“絶望”が“再生”にへと遂げていく過程も丁寧かつ見事ですし、ラストシーンはまさに圧巻そのもの。

それからワンシーン毎のショットもまさしくタルコフスキーならではの画角や撮り方でしたし、長尺に尻込みしつつもいざ観てみたら最後まで惹きつけられる素晴らしい一本でした。

これまでの彼のフィルモグラフィからしたら一番分かりやすい映画ではあるが、ただやっぱり一発で印象に残る強烈さがまだ足りないような…という物足りなさを感じてしまいましたね(^_^;)

まぁ次作である『惑星ソラリス』に至ってはある意味一気にレベルが上がるんだけど(^◇^;)...やはりあれもこれもと欲張る人間は罪深いですよね。分かります(適当)

とりあえず中世ヨーロッパやロシアに蔓延る支配階級はマジでクソ!!嫌い!!!!(ヤケクソ)