ダンクシー

青い春のダンクシーのレビュー・感想・評価

青い春(2001年製作の映画)
4.3
「花枯れてますよ」
「枯れてもまた咲く」
「でも枯れない花はないでしょ。学校やめようと思ってます」
「毎日水はやってますか?」
「先生、咲かない花もあるんじゃないですか」
「花は咲くものです。枯れるもんじゃない。私はそう思うことにしてます。それは、大切なことです」

物静かなんだけど、映像は強烈。この暗さ、大好き。俺はこういう世界観の作品が作りたかったんだよ!今でもぶっ刺さるんだから、中学高校の時に見てたらもっとぶっ刺さってたかもな〜。幸せなら手をたたこうの意味合いがまぁなんとも。。原作、松本大洋なんだってね。そりゃあ、面白いわ。センス抜群。

自分たちの価値観が全てだと思っていたあの頃。青春といえば明るくて爽やかなイメージだけど、実際は苦くてドロドロしてるよね。
この映画のメインはやはり九條と青木の関係性。ずっと変わらない九條と、どんどん変わっていく環境。だから九條の存在が遠く感じてしまったし、青木は変わらざるを得なかった。でも、九條はいつも通りの青木を求めていた。かすかなすれ違いが苦しい。楽しかった学校が、ここまで崩れ去るとはね…。

ギター持って階段に座る雪男のピースと廊下で対面して咥えたタバコをくっつけて火を消し合うシーンがめちゃ好きだったな〜。シンプルなのに画力の強さが半端ねえ。こういうのを撮りたくて仕方ない。。

屋上の扉が、序盤と終盤で繋がる演出。そして、九條に気づいて振り返る青木。大事な存在だと分かっていたのに、思っていたのに、自分だけだと思って相手をしっかり見ていなかった。感情がグチャグチャになったが、観ていて儚さの裏に美しさがあった。俺は、このエンドロールからもう一度鑑賞しようと思う。
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