四郎兼定

十戒の四郎兼定のレビュー・感想・評価

十戒(1956年製作の映画)
4.5
制作で20億の金が動いた映画なので、迫力だけで十分面白い。
戦車の疾走も民族大移動のシーンも、撮影現場で死者出てんじゃないか?ってくらいすごい。見入った。

王から奴隷の身になり、最後は救世主となったモーセが海を割ったりする話。
1部前半のストーリーが最高だった。
2部からの胡散臭さはむしろありがたい。神を見たモーセの「人間やめました」感で笑ってしまう。妙に憧れさせないようにわざと胡散臭くさせてるみたい。エンタメとしての塩梅がさすがと思った。映画だもんな。

海割りシーン大好き。神の力っていうより、物語の力を感じさせる。「モーセが海割った」っていう大昔の誰かの言葉が現代まで続いて映画として観られてるの凄すぎるよ。人が。

2部後半、約束の地を目指して進む移民たちとそれを追う戦車の大軍が怒りのデス・ロード過ぎ。こっちの方が先だけど、怒りのデス・ロードすぎる。
モーセが神の力を使って民を分断したのはがっかりだった。十戒で金の子牛の像爆破しなくてもいいだろ


聖なるものはとても純粋で危うい。
モーセは人類の救世主というよりヘブライ人の主権そのものだったんだろう。
ところで普遍宗教っていうのはユダヤに限らず、いつも民衆の革命の種火として起こるらしい。
四郎兼定

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