トランスマスター

散歩する惑星のトランスマスターのレビュー・感想・評価

散歩する惑星(2000年製作の映画)
4.0
♯74(2021年)ロイ・アンダーソン監督
『リビング・トリロジー』一作目

♯52アナログを極めたローテク巨編(2024年)

皆さん
スウェーデンという国について頭に浮かぶものはなんですか?

低価格でデザインの優れた
家具チェーン
質実剛健なステーションワゴン
『ABBA』→キーボード担当の
ベニー・アンダーソンが今作の楽曲を担当しています。
(”アンダーソン”ですが監督の親戚ではありません。)
『ACE OF BACE』
『The Cardigans』
などのアーティストや

映画
『ミッドサマー』の舞台としても有名ですね。

その国にロイ・アンダーソン監督という
巨匠が居ます。

私も『ホモ・サピエンスの涙』の試写会
をきっかけに知ったにわかファンです。

初めて作品を観た感想はなんだコレ❓
でした。

そして先日DVDを借りて再視聴したら
映像のどの瞬間を切り取っても
絵画になっていて驚きました。

そこで他の方のレビューを参考にしたら
前作『さよなら、人類』の記述が多いので
早速DVDを視聴!

すると冒頭の字幕で

「人間である事に関する三部作の
最終章である」

という衝撃なお知らせが…。

調べてみると
①『散歩する惑星』
②『愛おしい人々』
③『さよなら、人類』
の三部作という事を知り順番通り鑑賞したい衝動に駆られイッキ見しました。

※①→②→③の順番で見なくても大丈夫ですが②は一番最初に見ないでください。

ストーリーは説明が難しく
ワンカットワンシーンの固定カメラ
のアナログ撮影で
人々の日常を描いたシュールな映像の連続です。

◆良い点/注目ポイント
好きなワンカット
・軍の元総司令官の100歳の誕生日に老人ホームに訪れた軍の高官達。隣の看護師の視線に注目。
・慢性的な大渋滞の原因らしい謎の鞭打ちのデモ行進。
・入念なリハーサルを行った後の『ミッドサマー』の元ネタとなる奇祭。
・スサンヌの騎乗位と標識を叩く金属音
・火災保険金目的で自らの家具店に火を放ったオーナーの精神を病んだ長男の詩

「毎日、毎月、毎時間働く人々
病みと恥に悩む人々
貧しくとも映画に行く者
持たぬものを差し出す者
眠れる者
子供時代を忘れた人々
座らされる者」

◆改善点
・作品自体には無し。
三部作の一作目と二作目を探すのが、非常に困難。ちなみに二作目と三作目を借りたレンタル店の距離は24㎞離れています。

◆総括
・この三部作は
構想20年
撮影4年
ワンシーンの撮影1ヶ月
というスローライフな映画です。

特典映像の監督のインタビューで知った
凄い点が3つあります。

①出演者がプロではない。
路上やバー、ガソリンスタンド、店で見つけることもあれば、オーディションで選ぶ事もある。(男性は極端にデブか後頭部が禿げている人が多いです。)

②背景のトリックアートやセットの製作を自分達で作りたいから外注しない。

③三部作を通してのテーマは、
「普通の人々への賛歌
支配層への攻撃」

こんな手間暇かかった映画
珍しいですね。
中毒性のある映画をお探しの方は、
是非三部作をご覧になって語り合いましょう。

鑑賞方法:
初回DVDレンタル
2021年9月21日

2回目DVDレンタル
2024年3月18日

-2021年 74本目-
-2024年52本目-