ミシンそば

汚れた血のミシンそばのレビュー・感想・評価

汚れた血(1986年製作の映画)
3.5
キャリア初期のレオス・カラックスって、ガチのマジで「革命児」そのものだったんだなって痛感させられる、異質も異質な映画。
ただ、この時点でめっちゃ好き嫌いがハッキリ分かれる映画だなあ…ともどうしても思ってしまったわけで。
意図的なピンボケや、唐突に挟まれるコント的寸劇と言った要素の一つ一つが自分には段々しつこく思えてきてしまった。
きっと合わないタイプの映画作家なんだなと、もうこれは何度も味わった感覚だわさ。

愛のないセックスで感染するレトロウイルスが蔓延しているパンデミック状況なのに、あんまり危機感のない周囲から見ても、そのウイルスがそれほど重要な要素じゃないってことは分かる。
だから「その中」で、と言うより父親の死だったり、大きな犯罪計画を練ってる最中と言う「中」で変わらざるを得なくなった若者らの青春って色の方がやっぱり強いと感じたし、だからこそ苦手に思った。
「わたくし、レオス・カラックスと申します」って自己紹介のようにも映っちゃったんだろうかねえ。

だが、ラストに関しては何処までもヒロイックで、ベタだけど好きにならざるを得ない。
そこだけでレオス・カラックスは宝石たり得る。

映画とは関係ないんですが、シネマ203の支配人さんに一袋貰った新宮香梅堂の鈴焼、上映中に喰ったんですが元から好きなお菓子だったんで美味かったです。