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ストロンボリ/神の土地のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

ストロンボリ/神の土地(1949年製作の映画)
3.7
ネオレアリズモにもほどがある。これはホラーです。ロッセリーニとバーグマンがスキャンダルの末、結婚するきっかけになった作品。貧しく閉鎖的な活火山のストロンボリ島の粗野な漁師に嫁いだばかりに、バーグマンの苦悩が続く。都会的なバーグマンがこんなはずではなかった、とずっと怒っている🌋

火山の噴火のシーンは神の怒りの様相。<平地がない>ので、島から小舟で避難するしかない。神の怒りが収まればまた島に戻る。石でできた家が燃えていなくてよかったね、と安堵する。

地元の近海のマグロ漁は凄まじかった。囲い込み漁で殴打するので、目を伏せました。モノクロでよかった。

漁師の夫の粗野ぶりが野人レベルで、バーグマンが「私は文明社会の女なの」と言い放つ。都会の女への嫉妬と羨望が渦巻く四面楚歌の島で、文明社会に戻るために活火山の島でアドベンチャーに挑むバーグマン。ここまで来ると「インディ・ジョーンズ」並み。ええっ?と声をあげてしまいました。ラストも。

罰ゲームみたいだった。
アドベンチャーゲームのシナリオにありそう。

これを観たいと思ったきっかけは、ロッセリーニとバーグマンの関係が冷え始めた頃の作品「イタリア旅行」。バーグマンがイタリアの土着の文化や慣習に嫌悪感を示し不安になり、別れるつもりだった夫に精神的支えを求めるというような内容で、イタリア文化が卑下されてました。

こちらもバーグマンが嫁いだ先の辺境の地の文化に嫌悪感を示していて、そんなにイタリア文化を下げなくてもいいのに、とも思いました。

ネオレアリズモの背景は写実的だけれど、そこに不釣り合いな真逆のキャストをあえて配するとリアルさが消え、人工的に感じます。活火山を背景にするなら、バーグマンより断然アンナ・マニャーニでしょう。

この島のドキュメンタリーを観たくなりました。漁の歌や火山の歌が不思議な旋律でした。
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