広島カップ

クリフハンガーの広島カップのレビュー・感想・評価

クリフハンガー(1993年製作の映画)
3.8
北欧フィンランド出身の監督というと私はアキ・カウリスマキ監督を思い出します。
彼の作品を観るに彼の国出身の映像クリエイターは繊細という印象を受けます。
しかし、同じくフィンランド出身のレニー・ハーリン監督はそんな印象を茶舞台返しするような豪快な作風が持ち味。いや豪快というよりハリウッド流に大雑把といった方が正確か。
その大雑把加減が良い方に転んだのが『ダイ・ハード2』(1990)、『ロング・キス・グッドナイト』(1996)と本作の三本。
一般に完全に大雑把に振り切ってしまってはソッポ向かれてしまいますが、彼の初期の頃の作品は大雑把の中にもまだ抑制が効いていて面白い。

財務省から大金強奪した悪党どもが険しい雪山の中にそれを飛行機から落っことしてしまい、そいつを回収しようと山岳レスキュー隊を利用するが...という話。

この山岳レスキュー隊が魅力的。
スタローンがある過去の経緯絡みでマイケル・ルーカーから恨みを受けながら協力をし合うという設定が面白い。
スタローンはこんな極寒の雪山でも半袖姿を披露しその肉体をアピールしているし、マイケルは誰かを恨む時の表情がバッチリでキャスティング担当の腕が光っている。
また紅一点で本作以外にあまりメジャー作品が無いが、ショートカットが似合いなんと無くカントリーガールな雰囲気を持つ美人女優ジャニン・ターナーも目を引く。彼女は切り立った崖もスイスイ登って行き、忍者ターナーの間違いではないかと思った。

また山岳物の作品には登ると同時に"落下する"という感覚がどうしても求められるが本作はその点でも優れている。
いきなり冒頭から落っこちるスリルを満喫させてくれるし、その後も色々な物が落ちて来るので重力を充分感じさせてくれる作品だった。

※昔、人気TV番組「タモリのボキャブラ天国」で冒頭の落下シーンをモジって、「栗ご飯だ〜」とやっていたのが今でも頭に残っている。
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