42

ベロニカ・フォスのあこがれの42のレビュー・感想・評価

-
いかにも!な終わり方。
ベロニカの挙動は見ている方も苦しくなる。
「何をしたらここまで悪化するんだ?」と思っていたら…最悪すぎ。そして悪を暴けないまま。悪人たちは計画通り。
全てが回収されるわけではないところがファスビンダーらしい。どんよりとしたラストでも美しい部分がちゃんと残っている。

もう手遅れだったのかな。
ロベルトとベロニカが出会ったときもう既に手遅れだったのか?でもベロニカはまだ俳優を続けたい、生きたいと思っている。傍から見ると破滅寸前なのに本人は苦しみを苦しみとして認識しておらず、混乱の最中をもがきながら生きている。エルヴィラのときもそうだった。救われることを望んでいるのかさえ分からない。
なぜ救いはなかったんだろう。
なぜ希望が見出せなかったんだろう。

一つを見たらそこまで酷くないように思えてもそれぞれの要因が少しずつ彼女を蝕んでいた。
ぼんやりとした闇。濃さも深さも分からないのに着々と確実に彼女を蝕んでいった。
光と影とは彼女の人生のことを言っているのかもしれないが、ベロニカの顔に光が当たったとき、陰影がついたことで彼女の顔がくっきりと浮かび上がっていてとても美しかった。でもベロニカはその光が嫌だったのかな。本当は女優として復帰して強い光を浴びるより、ろうそくの火のようなぼんやりとしたあたたかい灯りを求めていたのかもしれない。
42

42