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さまよう刃のmayuのレビュー・感想・評価

さまよう刃(2009年製作の映画)
3.5


時間と体力があったので、何か観たくて
たまたま目に入って見つけた作品。
何の気なしに見始めたけど
サスペンスやサイコパス気質の物が好きな私でも、観終わった後にショックを受けた。

「少年法って、何のために、誰のためにあるんだろう」と考えさせられた作品。
娘を殺された親としては、娘を殺した犯人である少年を守る法律なんて、何の意味もない。

復讐が主となる映画の"復讐しても何も生まれない、変わらない、戻らないという
ありきたりなオチで終わらずに
悲壮感や絶望しかない現実、自分の気持ちにどう向き合い、昇華するのかという点も描かれていた。

長峰の曇って真っ黒に濁った瞳が頭から離れなかったし、殺すために手段を選ばない長峰の姿はほぼ共感も理解もできる。

最終的に復讐を最後まで成し遂げられなかったのは、私も苦しくなった。

最後の「少年も、長峰さんも、警察官も全員人を殺したのに、罪に問われるのは長峰さんだけなんですか?」
という台詞にハッとさせられた。
長峰の愛娘を殺した少年達
愛娘を殺した犯人の内の一人を殺した長峰
長峰を殺した警察

理由はそれぞれあれど、全員殺人を犯したのは同じなのに
罪に問われるのは被害者の父である長峰だけ。

こんなのって…悔しくて言葉が出ない。
日本の法律どうなってるの?と怒りの感情さえ生まれたよ…


登場人物の心情や、物語の進行過程が丁寧に描かれていてカロリーは使うけど
衝撃的な映画だったな。
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