運動を剥奪され、陰惨な人間関係に空気が停滞しつつも疾走を続けていた列車の運動すら寸断される瞬間の緊張が凄い。
人々の異常なエネルギー量が漲って、停車するや否やある人間を追って森へなだれ込む。
ここのリンチや十字架も象徴的だがゲルニカのブックカバーも出てくるし何なら三等車に乗っていた人々の不穏な表情は収容所へ輸送されているとしか思えない。
やはりそのトラウマを口にする者も登場させつつ、何故か欲求不満な人妻や無欲/性的不能者の象徴たる聖職者、ストーカーなど極端な人種しか出てこない。
故にずっと噛み合わず、距離感に対して一度も重なることのない不思議な群像劇になってる。
列車の飛び乗りはいつか死ぬと忠告されてたツィブルスキが現実世界で乗りに失敗して39歳で亡くなってるのは示唆としか思えない。