真っ黒こげ太郎

地獄のヒーローの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

地獄のヒーロー(1984年製作の映画)
4.5
俺が行くまで生きていてくれ!地獄の戦場へ友を救いに2万キロ!!!

たった独りで戻って来た!!!



ベトナム戦争終了後。
戦争時代の英雄、ジェームズ・ブラドック大佐は、7年間捕虜として囚われていたが脱出に成功する。
その後、ブラドック大佐は戦場の悪夢を払拭するために、アメリカの使節団の戦争時行方不明者の解放のための交渉に参加し、ベトナムへと向かう。

しかし、ブラドック大佐の解放要求は跳ねのけられ、難癖をつけられ戦争犯罪者扱いされてしまう。
頭にきたブラドック大佐は将軍の屋敷へ潜入し、将軍を脅迫し捕虜と隠し場所のアジトの情報を吐かせる。
(因みに将軍は反撃しようとして返り討ちに遭う。ブラドック大佐はどうにか誤魔化すが。)

ブラドック大佐は、元仲間で武器商人のタッカーの協力の元、ベトナム軍の追手と戦いながら隣国カンボジアから潜入して捕虜を救出しに向かうのだった。



ベトナムに囚われた捕虜を救出する為に、かつて脱出した英雄が敵地に舞い戻る、コマンド・アクション映画。
ハリウッドマーシャルアーツスターのレジェンド俳優、チャック・ノリス氏が本格的に大ブレイクするきっかけとなった「地獄のヒーロー」シリーズ第一弾。


今日も今日とて、ドンパチアクションやコマンドアクション映画を求めてAmazonプライムを彷徨っていたら、丁度いい物が。
何とまぁ、有名なアクションスター、チャック・ノリスさんの主演代表作が幾つか配信されている!!!
しかも未DVDor未レンタルの作品まであって、しかもレンタル版にはない吹き替えまで付いてるじゃあないですか!!!!

って事で、今回はチャックさんの出世作で、80年代を代表するコマンドアクション映画の代表作であるこちらを。


物語としては「かつて敵軍に捕らえられていた軍人が、捕虜救出の為に大暴れ!!!」という、正に純然たるコマンドアクション映画のストーリーだが、どうやら当時は同じ公開時期だった「ランボー/怒りの脱出」のパクリだの二番煎じだのなんだのと言われてしまったようで。

たしかに戦闘マシーンな主人公が捕虜救出に向かい敵軍とドンパチするという物語は殆ど同じだが、本作は当然と言えば当然だが「怒りの脱出」とは毛色が違う。
そもそも、チャックさんの潜入&ドンパチなコマンドアクション映画ムーブな展開は冒頭とラスト30分に固められており、それまではベトナム軍の欺瞞や、救出作戦を妨害しようとするベトナムの刺客との街中での戦いがメイン。
アクション映画ではあるが基本的に真面目なトーンだし、根本的には戦地に置き去りにされた戦争行方不明者の救出といったベトナム戦争後の社会問題の色が強い。
ベトナム政府側の嘘を豪快に暴いて終わるラストもそれを現してる。

アクションと主人公無双が主軸の「怒りの脱出」と、社会問題が根幹にある「地獄のヒーロー」。
こうして見比べると同じ捕虜救出物でもちゃんと作風の違いが出てるのが分かるだろう。
(ポ○モンとパ○ワールド位違う…ってあっちはキャラデザインの問題か。w)


そんな社会的な要素があるとはいえ、基本はチャック・ノリスさんのアクションがメイン。
喧嘩シーンはもみ合いやステゴロメインで、格闘アクションは皆無に等しいが、銃撃や爆破、カーチェイスといった見せ場はタップリ網羅。

序盤の回想から中盤の市街地での追跡戦、そしてクライマックスでの捕虜救出戦等、どれもドンパチ指数は高め。
中盤は市街地で情報収集や準備をするので地味かと思ったら、刺客が市街地でグレネードをぶっ放すわ、車で追っかけて来た刺客相手に港でカーチェイスするわでどったんばったん大騒ぎ。
クライマックス捕虜救出戦はもうこれでもか!と言わんばかりに銃弾が炸裂し大爆発が巻き起こる。コマンドアクション映画としては申し分ないドンパチ量と火薬量だ。
チャックさんは殆ど無敵状態で、捕虜として捕まったり市街地爆破で吹っ飛ばされたりするものの、殴り合いでは負けなしだし銃撃戦で弾が全く当たりません。w


全体的には娯楽要素はあるし、チャックさんの無双っぷりも拝めるとはいえ、政治的な問題を描いたシリアスな社会派アクションでもある今作。
自分はアクションや娯楽が強い「怒りの脱出」好きではあるが、それはそれ、これはこれ。
ドンパチ要素を堪能でき、戦後問題も学べる良質なコマンドアクションです。

因みにAmazonプライムではレンタルが出てない2作目も配信されてるので、こちらも近い内にみようと思ってます。


追記:無名時代のジャン・クロード・ヴァンダム氏がスタントとして参加してると聞いてビックリ!どこら辺で出てたんだろうか。