イチロヲ

サイコのイチロヲのレビュー・感想・評価

サイコ(1998年製作の映画)
3.5
勤務先の現金を横領した女性従業員(アン・ヘッシュ)が、逃走先のモーテルでサイコパスの青年(ヴィンス・ヴォーン)と接触してしまう。1960年度「サイコ」をカラー映像でリメイクしている、サスペンス映画。

基本的にヒッチコック版の完コピであり、まるで非公式のパチソン(偽者が歌っている主題歌集)のカセットを聞いているような、奇妙奇天烈な感覚に見舞われる。あえてポジティブな言い回しをすると、「壮大なる実験映画」と称することが可能。

だが翻ってみると、ゲイの監督がバイの女優を起用して、マザコン心理に端を発した犯罪劇を描いているところが、色々な意味で醍醐味となっている。こういう感性で製作されたサイコも、なかなかアリのように思えてくる。

クリストファー・ドイルによる無駄にアーティスティックな映像作りと、ミス・キャスト丸出しの俳優陣が珍妙なドライブ感を生み出している。アン・ヘッシュの中性的な魅力が映像から滲み出ているため、女性の短髪フェチにとっては垂涎の作品となるだろう。
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