reina

ザ・ブルード/怒りのメタファーのreinaのレビュー・感想・評価

3.4
よくありそうなホラーの物語だけど照明の具合とカメラワークがやけにエロチックだな?と見終わって調べたらデヴィッド・クローネンバーグの初期の作品だった。カラフルなスキーウェアを着た子ども3人が手を繋いで雪道を歩いてるのってこの映画だったんだ。何よりも終始お人形の様に無表情のキャンディが一番怖かった。本当に一切感情を抱かないかの様な演技だった。

この作品に登場する精神障害の治療法の「サイコプラズミクス」というのはなんだろうと思ったけど、見たところ特に機械などは用いない心理療法の様。てっきり頭にプラズマでも頭に当てるのかと思ってしまった。精神を病んだ女性の怒りがあのような形になるというのはザ・クローネンバーグ的ボディ・ホラー。個人的に妊娠や出産って非常にグロテスクだと思うし、これらは子宮を持つ者にしかできないということは恐ろしいと思う。でも怒りの噴出物としての産物が人の子どものような見た目ながらも「色盲」「性器がない」「臍がない」などの特徴を持つことからクローネンバーグは女性の怒りの恐ろしさを表したかったのだろうか?「激怒のエネルギーで体外子宮で小人が育つ」という設定なら別にその人が実際に子宮を持っている必要は無いわけでしょう。一般的に男性の方がよっぽど感情的なのに女性が少し感情を表しただけで「過剰な反応を示した」「女性はすぐ泣く」「"ヒステリー"を起こした」などといまだに言われる。毎月血を流し、苦労して子どもを産ませ、一体どこまで女性に苦しみを背負わせるのだろう。私は信仰は持たないが人間をこの様な仕組みで作った者がどこかにいるのならば文句を言いたい。まあ人体の問題が直接解決できないなら何かしらのシステムで補うしかないのだろう。

クローネンバーグは人間の肉体に固執した監督だけど身体障害を持つ人々についてどう考えているのか気になる。
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