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サスペリアのreinaのレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
3.2
出来の悪さに吐き気がした。
70年代の社会的混沌、仰々しさと心の定まらなさの合わさったカメラワーク、緊縛風ダンス衣装、特に意味合いもなくコロコロ切り替わる英語、ドイツ語、フランス語... それに、トム・ヨークの音楽。(彼はなぜこんな代物に参加したのか理解できない。)

ダンサーの女の子達をほぼ裸に近い格好に緊縛風の衣装で踊らせたり、後半では裸でトランス状態の儀式をやったり、なんだか服を脱がされ遊ばれるリカちゃん人形達に見えてしまった。ほぼ女性キャストで女性のパワーが鍵を握る映画でも結局女性の肉体に拘るのかと呆れてしまった。まあ主要なスタッフの多くは男性みたいなので納得ではある。結局は女性のパワーのポジティブな面ではなく、(男性から見て)女性の理解不能の怒りや古い言葉で言うと"ヒステリア"の延長を描きたかったのかな。「魔女」と「呪い」そして綺麗な裸の女たち。ここはインターネットの検索窓ではありません。

図工の授業の後のゴミ箱を覗いたかのような映画だった。あらゆる物の切れっ端や絵の具がごちゃ混ぜになったみたい。映画という作品としてのまとまりはない。入れたいものを入れ込んで混ぜ合わせただけ。ホラーやスプラッターで観られる惹きつけられる混沌とは別物のごった煮感。血を吹き出させて、肉体をぐちゃぐちゃにしただけでそう簡単にはそのようなジャンルの映画にはなれないということを実感させてくれた。そしてアルジェントがいかに素晴らしいホラー映画監督だったのか再認識させてくれたグァダニーノに感謝しよう。
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