ぶみ

恋するマドリのぶみのレビュー・感想・評価

恋するマドリ(2007年製作の映画)
2.0
新しい町、新しい部屋、新しい私。

大九明子監督、新垣結衣主演によるドラマ。
初めて一人暮らしを始めた美大生の主人公が、元の住人と階上に住む男性と交流を深める姿を描く。
主人公となる美大生ユイを新垣、部屋の元住人アツコを菊地凛子、上の部屋に住む男性タカシを松田龍平が演じているほか、ピエール瀧、廣田朋菜、内海桂子、世良公則等が登場。
物語は、ひょんなことから年上のアツコと知り合い、彼女に憧れつつもアツコの恋人でもあるタカシに惹かれ、悩むユイの日々が描かれていくのだが、全てが予定調和で進んでいき、かつ取り立てて面白いエピソードがあるかと言うと、そんな訳でもなくと、あまり観るべき点はなかったかなというのが正直な感想。
そんな本作品の最大にして唯一の見どころは、当時19歳で映画初主演となった新垣であり、魅力が爆発しているとは言えないまでも、初々しさ溢れる演技は観ていて微笑ましくなるもの。
2007年と既に17年前の作品なのだが、新垣、菊地、松田といった主演三人を筆頭にピエールや内海、世良のいずれもそんなに今とビジュアルが変わっておらず、特にチョイ役で出演していた江口のりこに至っては、全く今と同じと言っても過言ではないミラクルが起きていた反面、スマートフォン夜明け前の時代であるため、ガラケーが登場していたことで、一気に一世代前の作品に感じられてしまったため、ガジェットは如実に時代を反映するのだなと感じた次第。
クルマ好きの視点からすると、アパートの隣人を演じた公開当時で85歳になる内海の愛車が、1960年台後半から80年代まで現役モデルであったピカピカのシボレー・コルベットだったのには驚きを隠せなかったところ。
もう少し面白くなりそうなところを何故か面白くないまま最後まで突っ走ってしまったため、尺の長さを感じてしまったとともに、16年後に岸善幸監督『正欲』に主演するなんて想像もしていなかったであろう新垣が眩しく見えた一作。

ニッケルとパラジウム別々に。
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