mimicot

浮き雲のmimicotのレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
4.3
"ささやかな幸せと人生讃歌"

アキ・カウリスマキ監督の「敗者三部作」の第一部を観ました。

慎ましくも幸せに暮らす仲良し夫婦。しかし不況の波が押し寄せ、ふたりは失業してしまう。。。
職を探して彷徨う2人に、これでもか〜と負の連鎖が襲い掛かかり...次こそは!お願い!と応援せずにはいられません。

どんなに不運に見舞われても、ピクリとも表情を変えず、淡々と温かく寄り添い合うふたりから、大切なのは"愛"だよと教えられる。
そして何故だかクスッと笑える、独特のとぼけた"間"がいい。
絶望の淵に立たされても、何とかなるさ〜という監督の、人を見る温かさを感じました。

好きだったのは、妻がお店を1人で全部こなすシーン。じわじわと笑いのツボを刺激してくるの。
無表情な登場人物たちの中で、クーンクーン🐶と全身で感情を表すワンコも可愛すぎた♡

ラスト、ふたりが見上げた空には、真っ白でふんわりした雲が見えたかなぁ

マッティ・ペロンパーが、子供の頃の写真で出演しています。
撮影前にに急逝した彼を悼む、監督の思いが痛いほど伝わってきて胸が締めつけられるシーンです。
この作品は、彼の為に書かれた脚本だったそうです🥲
mimicot

mimicot