【私の好きな終末】
同時期の世紀末ムービーでは『マトリックス』や『ファイト・クラブ』『ポーラX』など資本主義✖️システム社会に対するアンチ作品が多く現れたが本作もそれに該当する。
この映画は社会的弱者を演じる塚本晋也が、一人ヤクザな集団に潜伏しバイオレンスに染まっていく過程を淡々と描く極めて『タクシードライバー』なお話。世紀末東京の漆黒のモノクロ映像がスタイリッシュ。
『鉄男』や『六月の蛇』同様にネチネチした役者・塚本のストーカーっぽい気色悪さが良く出ている一作だ。塚本の私怨が都市(文明)という名の共同幻想を打ち砕く。そのジメジメ〜ッとした感触と終末観が、メジャー系映画とは対極に位置する雰囲気がある。
最終的に「ぜ〜んぶ嘘!」なのだ。この映画の舞台東京も。それを取り巻く世界も。
この世のカラクリを見抜いた塚本監督ならではの批評性にはやはり唸らされる。結構エンタメ度も高く終始ハラハラするサスペンス映画となっている。石川忠によるインダストリアルな音楽もまた絶妙だよ〜!😁