こまち

緑の光線のこまちのレビュー・感想・評価

緑の光線(1986年製作の映画)
3.9
理想の人に出会えない、自分には何の価値もないと悲観する主人公デルフィーヌ。どう過ごそうか迷いながら送る彼女のバカンスを描いている。

自然な会話に引き込まれるし、デルフィーヌの独特のこだわりが会話にも滲み出ている。

そういったこだわりが自分を苦しめていることに気づいていても、それを取っ払うことはできないし、自分でも自分が分からなくなって、そんな自分にまた嫌になる。寂しくて誰かといたいのに避けてしまう、堂々巡り。
側から見たら面倒臭いだろうなと思いつつ、私自身も気難しい自覚があるので共感したし、もしや彼女と気難しさレベル互角かもしれない…

たまたま小耳に挟んだ緑の光線の景色を見て心洗われる、希望のあるラストだった。
一人で感傷に浸っていたからこそ見つけられるものもあるし、そんな時だからこそより輝いて見えただろう。

タイトルから話の展開まで、さすがフランスというか文学的で叙情的で美しかった。
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